マドリードにあるソフィア王妃芸術センターの展示室「ゲルニカ」

マドリードに刻まれたピカソの足跡

Madrid

「ピカソの世界」の愛好家の方にも、単にスペイン出身の芸術家パブロ・ピカソの人物像について深く知りたいという方にも、マドリードの町とマドリードが生んだこの天才との接点を探る試みはおすすめのアクティビティといえます。

ピカソとマドリードの関係とは?

この天才の人生に関連づけられることが多い都市といえばマラガやバルセロナですが、実際のところ、彼の傑作はマドリードにも複数収蔵されているばかりか、市内にはこのキュビスムの画家に深く影響を与えたある場所まで存在します。それはどこでしょうか?その場所とは、まさにあの プラド美術館にほかなりません。人生初のマドリード旅行でプラド美術館を訪れた彼は、ベラスケスやエル・グレコといった偉大な巨匠に深く魅了されてしまいます。このアートギャラリーの見事な展示室を見て歩けば、ピカソがどのようにしてそこから着想を得たかを想像することができるでしょう。実際、ピカソは1936年から1939年にかけてプラド美術館の館長を務めました。首都マドリードを訪れてその役職に正式に就任することはついぞありませんでしたが、館長として任命されたことを受け入れ、さまざまな活動を支援しました。

マドリードにある国立プラド美術館の屋外に設置されているベラスケス像

19世紀の末に16歳でマドリードに出てきたピカソは、芸術家を目指してアカデミック・リアリズムに基づく教育を受け始めます。その学校の名を王立サン・フェルナンド美術アカデミーといいますが、ここもまた興味深い文化施設であるうえ、現在でも見学することができるようになっています。今日、ピカソの作品はマドリードのどこに行けば鑑賞できるのでしょうか?たとえば、ティッセン美術館『収穫』『鏡を持つアルルカン』などの作品を所蔵しています。ただし、マラガ出身のこの画家が手がけたもっとも有名な作品といえば、ソフィア王妃芸術センターに展示されているあの作品しかありません。それが『ゲルニカ』です。1937年に描かれたこの堂々たる壁画は、高さ3.50メートル、幅7.80メートルの大きさがあります。白、黒、灰色だけを使用することで、スペイン市民戦争中にバスク地方の町ゲルニカが被った爆撃の痛みを表現しています。この作品の前で立ち止まれば、忘れられない圧倒的なエクスペリエンスを得られることでしょう。この美術館には、この画家が制作したほかの作品も収蔵されています。

マドリードにあるソフィア王妃芸術センターに入場する観光客

ピカソに捧げられた美術館

マドリード市内から80キロメートル強のところに美しいブイトラゴ・デ・ロソーヤの町があります。この町にある美術館は一般の人々にはあまり知られていないものの、芸術家ピカソの姿に迫るには非常に興味深い場所となっています。その美術館とはピカソ美術館=エウヘニオ・アリアス・コレクション。 興味深いのは、この場所が、ピカソ自身と彼の理髪師エウヘニオ・アリアスとの間の26年間にわたる長い友情の賜物であるという点です。二人はフランス亡命中に親しくなりました。芸術家ピカソがエウヘニオ・アリアスに贈った作品のおかげで、この理髪師の故郷にこうした美術館が開館するに至ったというわけです。館内では、素描から、グラフィック作品、陶磁器、ポスター、直筆サイン入りの本、焼き絵を施した理髪師用の道具箱といったユニークな作品まで展示されています。

ピカソ美術館=エウヘニオ・アリアス・コレクションの展示室の様子

すでに没後半世紀を迎えたにもかかわらず、ピカソの人物像と彼の作品は今でも当時と同じ関心を呼び起こし、同じ創造的なインパクトをもたらし続けています。それをぜひ、マドリードで体験してみてください。 

に関する詳細をごらんください